睡眠障害に悩む方に いびき・睡眠時無呼吸

日中、頭がぼーっとしたり、仕事がはかどらなかったり…
睡眠時の呼吸が原因かもしれません

十分睡眠をとっているはずなのに、日中頭がぼーっとしたり、仕事がはかどらなかったり…と睡眠不足を感じることがありませんか。これは熟睡をしていない状況なのかもしれません。特に、いびきをしている人は注意が必要です。熟睡できない原因の中に、耳鼻咽喉科疾患が隠れている可能性があります。

そもそもなぜ
いびきをかくの?

いびきは、気道が狭くなっている状況で、空気(息)が無理に通過しようとして起きる音です。横になり、深い眠りに入ろうとすると気道が狭くなり、いびきが起こります。気道が狭くなって息苦しいため、目が覚め、また眠りについても気道が狭くなりまた目覚め…と繰り返すことで、無意識に熟睡できなくなるのです。

正常な場合

気道が十分に開いている状態で、きちんと呼吸できています。

いびき症の場合

舌が気道を塞いでしまい、呼吸が妨げられています。

いびきが悪化した、
睡眠時無呼吸

さらにいびきが悪化していくと、上部気道が一時的にふさがってしまう「睡眠時無呼吸」と呼ばれる状態になります。電車や車の事故を引き起こすことで一般に認知されるようになりました。

睡眠中の呼吸の停止/再開の繰り返しのため昼間の眠気が起こるだけでなく、低酸素状態やストレスの影響で高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの心血管系疾患が引き起こされやすくなります。

太っている人、鼻炎がある人は注意

いびきは、肥満や老化のほか、下あごが小さい人に見られます。あるいは鼻炎がある、扁桃肥大や口蓋垂(のどちんこ)が長いなどで気道がふさがりやすいと、いびきをかくようになります。また顔の形によってもいびきのかきやすさは決まりますので、その意味では遺伝も一因になると考えられます。

まずはいびきの
原因を特定!

子ども、大人にかかわらず、いびきが気になる場合は耳鼻咽喉科へ相談を。子どもの場合は副鼻腔炎や扁桃肥大、大人の場合がアレルギー性鼻炎などの鼻疾患が原因のケースもあります。その場合、これらの病気を治療することでいびきを解消できます。

睡眠時無呼吸専用の装置(ウォッチパット)

原因が分からないときには、睡眠時無呼吸専用の検査装置を用いて、治療方針を決定します。検査装置を病院で貸し出しますので、睡眠時に自宅で検査していただきます。検査は指1本と胸につけるセンサーのみで簡単です。この装置により、睡眠中の脳や血液の動きなどを検査します。

次回受診の際、その場で結果を解析、治療方針を決めます。以前は検査会社に依頼していた解析も、新装置の導入で病院での即時診断が可能になりました。

point

受診希望の方は、装置がレンタル中の場合もあるので、受診前に一度受診希望日をご相談ください。

睡眠時無呼吸と
判断された場合の
治療法

鼻疾患の改善

まずは鼻づまり、咳、鼻汁などの改善を目指します。アレルギー性鼻炎などの鼻疾患が見られる場合は、その治療を最優先して行います。

ダイエット

BMIが25以上など肥満の場合は、BMI23を目標に減量指導を行います。

マウスピース療法(スリープスプリント)

睡眠時にスリープスプリントと呼ばれる医療用マウスピースを装着し、下顎を前方に出すことで気道を確保し、いびきや睡眠時無呼吸を軽減します。軽度の症状向けの治療方法です。口峡が前方に位置する場合は、マウスピース療法をおすすめします。

下顎を前方に固定
スリープスプリント

CPAP

CPAPとは、持続陽圧気道圧を供給する装置です。睡眠時に、鼻に装着したゴムマスクを通して空気を送り込むことで気道を確保し、睡眠中に呼吸が止まることなく熟睡できます。極度の肥満が原因の重症の睡眠時無呼吸症候群の方にも効果を発揮します。個人差でのどの乾燥などの症状がでる場合がありますので、装置の使用に関しては医師にご相談ください。

  • CPAPを使用すれば、症状を簡単におさえる事はできますが、まずは検査を受け、原因をきちんと特定し、原因の改善を試みることから始める事が最適な治療法です。

上記以外にも、禁酒、禁煙、禁カフェイン、薬剤、手術など適した改善治療を行います。

いびきは寝ている間に起こるため、全く自覚症状がないケースも見られます。いくら寝ても昼間に眠くなるなど、気になることがある場合は耳鼻咽喉科へご相談ください。睡眠時無呼吸の場合は多くの病気のリスクを高めます。

使用する主な機器

  • ウォッチパット

    指と胸につけたセンサーで睡眠中の脳や血液の動きなどを検査します。

よくある質問

睡眠時無呼吸症候群になりやすいのはどのような人ですか?

肥満や老化のほか、下あごが小さかったり、鼻の悪い人、扁桃肥大の人、睡眠薬や精神安定剤を飲んでいる人も睡眠時無呼吸症候群になりやすいといえます。

肥満体でなければ大丈夫ですか?

肥満ももちろん原因のひとつではありますが、肥満よりも顔の形が原因でおこることが多い傾向がみられます。

睡眠時無呼吸症候群は遺伝しますか?

あごの形や体型は親子間で似る傾向があるため、遺伝も一因であると考えられます。

自覚症状が全くなくても、睡眠時無呼吸症候群の可能性はありますか?

全く自覚症状がない場合でも、睡眠時無呼吸症候群になっている方はおられます。不安な方は一度、検査、診断を受けられることをおすすめいたします。

睡眠時無呼吸症候群を検査する方法について教えてください。

医療機関に一晩入院しておこなう検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)と、装置を借りて自宅でおこなう検査(簡易検査)があります。検査では、睡眠中の脳、目、筋肉、呼吸、心臓、血液、体位、いびきの状態などを測定します。