診療案内 medical treatment
日本人の100人に3人が悩む 耳鳴症
高齢になるほど増加する
耳鳴症
高齢になるほど増加し、日本の人口の約2〜3%、300万人が悩んでいるとされる耳鳴り。他人には聞こえないこともあり、軽視されることもありますが、あまりにも強く聞こえ、日常生活に支障が出ている場合は病気とされます。以前は「一生良くならない」と諦めていた耳鳴りも、現在では徐々に発生のメカニズムが解明されつつあり、治療法の研究も進んでいます。
耳鳴りの原因
全く音のない場所では誰でも耳鳴りは聞こえます。ただ、ごく小さいため日常生活では気付かないことがほとんどです。
しかし難聴などで音を電気信号に変えて脳へ伝達する経路(聴覚路)の障害が強くなると、電気信号が脳に届きにくくなります。そのため、脳が音を聞こうと徐々に変化して、「小さな音でも聞き逃さない」状態になり、小さくて気付いていなかった耳鳴りにも気付くようになると考えられています。
さらに、日常生活のストレスや自律神経の乱れなどで耳鳴りは悪化します。耳鳴りは聴覚の障害がきっかけで変化した「苦痛を感じる脳」から発生することが多いのです。
当院での治療法
耳鳴りの原因はさまざま。
詳しい問診や、検査、診察を行い、その原因に応じた治療を行っています。
1.聴覚路に対する治療
内服治療
末梢血管の血液の流れをよくして脳や耳の代謝を活性化するビタミン剤や循環改善剤が中心ですが漢方薬の併用、プラセンタ療法を行うと効果的な場合もあります。
プラセンタ注射は、保険適応外です。また、安全性は確立されていますが、「特定生物由来製品」のため、注射同意書への署名が必要です。
星状神経節照射
スーパーライザーという機器を用い、頸部の星状神経節に近赤外線を照射します。定期的に行うことで交感神経の緊張をやわらげ、血流改善効果が期待できます。
補聴器を使った治療
軽度の難聴でも、補聴器を使って変化してしまった脳へ音(電気信号)を届けることで耳鳴りを発生させた脳を変えることを目的とします。
難聴にも様々なタイプがありますのでしっかり精査をした上で補聴器のフィッティングを行っていきます。
2.苦痛を感じる脳に対する治療
内服治療
苦痛を感じる脳の不安を軽減するために抗うつ薬や抗不安薬を用い自律神経症状を抑えます。漢方薬が著効する場合もあります。
サウンドジェネレーター(音響療法)
機器を耳に装着し、自然の音や治療のための音を聞くことにより、耳鳴りを小さく感じるように訓練します。
耳鳴り改善へのステップ
個人差はありますが耳鳴りをしっかり理解することで次のように改善していくのを目標としています。諦めることなくあせらずに自分のペースで治療していきましょう。
- 診察を受けて気持ちが落ち着いた
- 耳鳴りにだんだん慣れてきた
- 普通に生活できるようになった
- 耳鳴りがしていることを忘れる
- 静かなところだけで耳鳴りが聞こえる
使用する主な機器
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補聴器
音(電気信号)を届けることで耳鳴りを発生させた脳を変えることを目的とします。
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サウンドジェネレーター
自然の音や治療のための音を聞くことにより、耳鳴りを小さく感じるように訓練します。
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スーパーライザー
近赤外線を頸部の星状神経節に照射し、突発性難聴や感音性難聴、メニエール病、耳鳴症、顔面神経麻痺などを緩和する治療です。痛みはほとんどなく、5〜7分程度の治療時間です。