鼻の病気 嗅覚障害

症状と原因

症状

人間の五感の一つ、においを感じ取る「嗅覚」に障害が出ることを嗅覚障害といいます。

においは、生活のうるおいや食べ物の味わいにも影響を及ぼす重要な機能ですが、視覚や聴覚ほど重要視されていないため、放置して症状が固定し手遅れになるという症例が見られることも。

においがしない、感じにくいといった嗅覚機能の低下のほか、においに敏感になり少しの悪臭にも耐えられなくなる嗅覚過敏、本来とは異なるにおいに感じる嗅覚錯誤などがあります。

原因

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、耳鼻咽喉科疾患によるものが約60%と多くなっています。その他、ウイルスによるにおいの神経の障害(15%)や、加齢・脳疾患によるもの(7〜8%)、薬の副作用によるもの(1〜2%)などが挙げられます。

まれに、ストレスや精神的ショックにより嗅覚障害が生じる場合もあります。

当院での主な治療法

最も多い副鼻腔炎を原因とする嗅覚障害の治療は、抗生剤など副鼻腔炎の一般的治療に加え、ステロイド点鼻薬を使用します。

保存的治療が無効な場合は副鼻腔内視鏡手術が有効な場合もあり、手術も含めた長期的な治療成績は治癒軽快まで含め80%程度です。

アレルギー性の嗅覚障害は鼻アレルギー診療ガイドラインに従った薬を処方します。場合によってはステロイドの内服を考慮する場合もあります。

風邪の後の嗅覚障害を放置したために起こる「感冒後嗅覚障害」は、風邪のウイルスにより鼻奥のにおいを感知する嗅細胞が変性、脱落するのが原因と推測されています。

症状が出て3週間以上過ぎると治療を行っても治らない場合が多く治療が難しい疾患です。治療は一般的にはステロイド点鼻薬とビタミン剤、血流改善薬の内服で嗅粘膜(嗅神経)を刺激することを目的とします。当院では難治例にはさらに漢方薬(当帰芍薬散など)を長期併用していただき治療効果を上げています。

改善に数か月を要しますが自然回復する症例も稀にあるので諦めず根気強く長期的に治療を続けることが最も大事です。

においが感じられないと、味も分かりづらくなります。おかしいと感じたら早めの受診を行いましょう。

使用する主な機器

  • レントゲン

    副鼻腔や耳の病変部位や重症度を確認します。デジタルレントゲンですので撮影後すぐに画像が表示され、素早い正確な診断が可能です。

  • 耳鼻科領域専用CT

    耳・鼻・のどを撮影する専用のCTを導入しました。より専門的な検査ができるうえ、被ばく量・かかる料金も少なくなります。